愛って何? あなたはそれを教えてくれる? …教えてくれなくてもいい 知る切欠をくれるだけでいい。 だから今日も私は好きでもない男に抱きしめられ 口付けされ そして抱かれ。 体温は感じるのにどこか冷たいその行為 ねぇ 愛 っ て 何 ? My desire for... ― 始まり ― 「〜…行こうぜー?」 「嫌。今日はそんな気分じゃないわ」 「がそんな気分じゃなくても俺は行きたいの!最近ヤってねぇじゃん〜 なぁ、行こうぜラブホ」 「嫌って言ってるでしょ?しつこかったら別れるわよ」 「狽ヲ それはヤダ!…しゃぁねぇな 分かったよ」 「宜しい。」 そんな会話を繰り広げながら、汚れた東京の空の下を、“今の”彼氏と歩いていた 周りには 人 人 人。 空と同じく汚れた街は、人に溢れかえっていた 「あ じゃん」 「ん?あ 康太」 「何?また新しい彼氏?」 「うん、アンタから…3人目かな」 「お前俺の時で5人目って言ってたじゃねぇか」 「ふふ、そうだっけ?…行こう 」 「…おう」 好きだから彼氏なんじゃない ただ、告白されたから付き合ってるだけ。 けど、は結構長く続いてるほう。 普段なら一ヶ月持つか持たないかだけど、と付き合ってから、既に三ヶ月が経とうとしているから。 「…良いわ、気が変わった。行ってもいいわよ」 「へ?何処に?」 「アンタがさっき行きたいって言ってたところ。」 「え、マジ!?やっりぃ!じゃー行こうぜ!あっちにオススメのホテルあんだよ」 「はいはい、走らないの。」 彼は純粋に私が好きなのだ 世間的に見れば「軽い女」である私に告白してくるのは、相手も軽い男だったり、とにかく遊びで付き合おうと言ってくる 私は、顔は学校一美人だと自負しているし、身体も出ているところは出ていて、それでいて太ってはいない そう、見た目と身体…酷い奴なら、性欲処理目当てだけに。 …けれど、は違う 彼は私がそんな女だと知った上で「本気で好き」と言ってきた それは、愛かと問えば、間髪いれずに「愛だ」と返ってきた。 私は愛を知るためにと付き合った …悪く言えば、利用しているのだ。 が私にベタ惚れなのは分かっている けれどイマイチ、「愛」がまだよく分からない。 ただ、行為中に「好き」やら「愛してる」やら、他の男では絶対に言わなかった台詞をは当然のように囁く 他の男がその台詞を言うことがあったけども、そこに気持ちがないのは明白で。 …のその言葉は 心地いい。 今 私が「愛」に関して分かっているのは、それくらいだ。 「こっちこっち!」 「逃げないから落ち着きなさいっての」 人混みを掻き分け走るに呆れの声を上げる けれど、刹那 「…っ!」 見失った。 「、…っ」 人ごみの中を、彼は走っていったのだ。 見失わない訳がない。 見つけたら、一人で先先行くなと叱らなければ。 …いや違う。私が付いていかねばならなかった。 「っ…」 独りは 怖い 「…!」 「?」 「…」 目の前には、キョトンとした顔のの姿 多分涙目になっているのであろう私の顔を見て、優しく微笑んで 私の頭をなでた 「ごめんな そうだよな、独りは 嫌いだもんな」 大勢の人がいても。 その中に私は独り。 私にとって、それほど怖いことはないのだ。 こんな時だけは、立場が逆転する。 どこか子供っぽい どこか大人びている私 いつもは子供っぽいを呆れながら、半ば保護者のように見ている私。 けれど、今だけは。 泣きじゃくる私を慰める。 …その手は、優しい。 「立てる?」 「う、ん」 「ほら行こう。ホテル、すぐそこだぜ」 手を引かれ、立ち上がり 歩き出す。 大通りから道を逸れ、少し人通りが減る 多分が向かっているであろう建物まで あと30メートル さっきよりは少ないと言えど人ごみの中 ―――スッ すれ違った、一組のカップル。…いや、男。 気が付けば、私は振り向いていた すると、目が合う。…彼も、振り向いたのだ。 「―――…。」 無言で見つめあう。 綺麗すぎる、透き通ったアイスブルーの瞳 全てを見下したような、冷め切った目。 金縛りに陥ったような感覚。 2人以外の 全てが消えうせた。 建物も 人も 音も。 静寂が いや、寂静が 2人を包んでいた。 「景吾?何見てるの?」 「いや、何でもねぇ」 「ー?どったの?」 「ううん、何でもないわ」 それぞれの恋人が話しかけてくるまで、私…いや私たちは動けなかった。 「「 ( 何(だ)―――…今のは… ) 」」 互いに 私たちは 似ている何かを感じていた その時はまだ、それが何かも分からずに。 始 ま り は 一 瞬 の す れ 違 い か ら だ っ た 。 TOP / NEXT ( 06,08,01 ) ( 一周年記念連載開始。半周年とは違って早く終わればいいな )
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